インディーズ・ポップスユニットm7のプロデューサーMarkのblogです

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2008年一発目がこの話題なのはとても嬉しい

「終わりの始まり」—— 音楽業界の2007年と2008年 - くだらない踊り方

さるマイミクさんが日記で紹介してくれたブログである。とても面白く読ませてもらった。2008年最初のエントリーがこのブログの本来の趣旨、音楽のことで始められるのはなにかとてもめでたい気がする。
筆者は音楽業界に身を置く人らしく、実際の肌感覚から得られた思索に富んだ文章である。現象面についてはほぼ僕と同じことを感じている、と言ってもいい。但し、僕とはスタンスというか、「音楽業界」そのものの位置付けが違うため、結論は別のものとなる。今まで言って来たことであるがちょっと書いてみようと思う。

音楽とは元々ライブである。規模はいろいろあるが、皆が楽器を持ち寄って演奏することでしか表現できないものだった。その伝承は人から人へ、演奏を受け継いでいくしかなかった。そのうちに譜面が生まれ、家に楽器があれば一つの音楽をパーソナルに受け継ぐことができるようになった。しかしパーソナル化は演奏者の特権であった。純粋なリスナーは演奏会を聴きに出かけないと音楽に触れることはできなかった。当時のことを考えれば、音楽ファンとはほとんど演奏者でもあったのではないかと思う。聴く専門のリスナーという人種はごく少数だったのではないかと推測する。本当に音楽が好きなら、演奏するしかないのだ。ギターなりバイオリンなり笛なり、あるいはバケツや丸太を叩いて。
ところが蓄音機が生まれ、レコードというメディアが世界を一変させた。真の意味で音楽をパーソナルなものにした。楽器を演奏できない人も音楽を自宅で楽しめるようになったのだ。しかし忘れてはならないのは、レコードもCDも単なる物理メディアであって、音楽そのものではないのだ。
音楽を物理メディアに固定し大量生産し販売することで今の音楽業界は生まれ育って来た。しかし音楽そのものを作って来たのはその業界の中でも一握りのアーティスト(もちろんレコード会社の中にいてアーティスティックな才能を発揮して来た有能なスタッフ達も含む)であってその他大勢はシステムを支える人達、すなわち音楽を生み出す作業を金銭面で支える仕事をしている。これがすなわちビジネスだ。

さてここからが僕のスタンスなのだが、僕はこう思う。もしパラレルワールドがあって、蓄音機が発明される前に一足飛びに今の世の中になっていたとしたら…当然物理メディアを販売するビジネスなど生まれなかっただろう。アーティストとリスナーは通信や電波によって直接結びつくに違いない。曲が評判になって演奏会に人が来る。アーティストはその演奏会によって生計を立てる。もしかしたらそれこそが有り得べき音楽の姿なのではないだろうか、と。
そう考えるといわゆる「音楽業界」というのはなくてもよかったのかもしれない。それが言い過ぎなら、「過渡的なシステムに過ぎない」と言い換えよう。
物理メディアを販売するスキーム=音楽業界は過渡的なものだから消滅するのである。消滅後は有り得べき音楽の姿を実現する為の新システムに移行する。レコーディングはプロモーションの為に行い、なるべく安価に作りバラ撒く。CMやテレビ・映画等のタイアップは物理メディアが売れる為のプロモーションには最早なり得ないので制作費を回収する為の金ヅルとする。レコーディング製作物を配信する時にリスナーからカネなど取ってはいけない。タダでばんばん聴かせるのだ(そういう意味ではiTunes Storeも今の音楽業界と折り合いをつけている時点で過渡的なのだ)。そしてアーティスト価値を高めて、演奏会すなわちコンサートで回収し儲けを出す。昨今のバカみたいにカネをかけたステージを捨てれば、十分に儲かるスキームだと思う。
もちろん現在の音楽業界から比べると動くカネは桁違いに少ない。その代わり、抱えるスタッフの数も桁違いに少ないので収支はとれるだろう。そのぐらいが新たなる音楽業界にとっては「適性規模」なのではないかと思う。

とまぁ一案。この通りになるかどうかははっきり言ってわからない。第一、一度現在の音楽業界に消滅していただかなくてはならない。音楽業界の中から、資本主義の拡大再生産的な発想の中からはこういうシステムは生まれてこない。それは既得権益云々ではなくて、そもそもビジネスの哲学の中に自分の業界を潰すなんて考え方はないのだ。
ただ、実際問題としてメジャーレコード会社がどんどんつぶれていけば自然とこういうシステムに移行していく気もする。例えそうなっても、既存の音楽「業界」が消滅するだけで、音楽と音楽ビジネスそのものが死ぬわけではない。新たな形の業界に生まれ変わるだけである。

その転機になりそうな2008年ならば、注意深く見守っていこうと思う。
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by kenpapa9 | 2008-01-04 05:02 | 音楽・カルチャー全般

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